桜も散りかけたある日、彼女が突然、
「ワタシ、ソロソロ デル」
「え!? 1年じゃなかったっけ?」
彼女から1年と聞いていた僕は急な「退室宣言」に面食らってしまった。
どうやら1年日本にいることはいるのだが、その間は日本各地を旅したりするそう。
残念な気持ちになるも、どこかまだ「好き」かどうかが自分の中でも怪しい感じだったし、彼女の今後を考えてもそのほうがいいだろう。
「そっか、じゃあ日本楽しんで!」
とカラ元気な返事を返した。
そして迎えた退室日。僕はいつもどおり家で仕事をしている。彼女が荷物を抱えて来る。
「いよいよだね。。」
「ワタシ、コノイエガスキデス。 マタ、トウキョウ モドッテクル。
ソノトキ、ヘヤ アイテルカ シリタイカラ レンラクサキ オシエテ♪」
恥ずかしながらこの時初めて連絡先交換しました。(アラサーが何やってんだか)
で、いよいよ出発。
彼女、来たときと同じようにものすごい荷物。
「荷物、お持ちしましょう!!」
そこは日本男子たるもの親切にせねばなりません。荷物半分抱えて2人で駅へ。
改札を通って去っていく彼女。
その背中を見つめる。
「Von voyage!」
不意に出たフランス語。
笑顔で去る彼女。
今度は言い間違いしなかった。